
目次
はじめに
お子さんには『自分らしく、好きな生き方』をしてほしい。そんな願いを持つ親御さんは多いのではないでしょうか。そのような思いを持っていらっしゃる親御さんに知ってほしいのが【主体性】を育むということです。
似ている言葉に「自主性」があります。でも、この2つは似ていますが、大きく違う意味があります。
「自主性」は、決まっていることを言われなくても自分からやる力。たとえば、言われなくても宿題に取りかかれることです。「宿題」をやることは決まっていて、それを催促される前に自分から率先してやることです。
一方【主体性】は、『自分で考えて、自分で選び、行動する力』のことです。「自由研究で何をするか」「どんな遊びをしたいか」「誰とどんなふうに過ごしたいか」など、お子さん自身が『選ぶ』ところから始まるのが【主体性】です。『何をしたいか』『何をするか』も自分で考えて、選ぶことです。
インターネットで世界と繋がり、ITやAIの技術がものすごい速さで発達し、変化の早い時代を生きるお子さんたちにとって、今以上に『自分らしく、好きな生き方』をしやすくなります。そのためには、指示を待つのではなく、率先して行動をする「自主性」も大切ですが、『何をしたいか』『何をするか』を自分で考え、選び、行動を起こす【主体性】がますます大切になります。多様な価値観が認められ、正解のない世界で自分の軸を持ち、自分らしく好きな人生を切り開いていくための力。それが【主体性】です。
1.なぜ今「主体性」なの?
『自分らしく、好きな生き方』を切り開くだけではなく、社会でも【主体性】が求められています。以前は、「ちゃんと言われたことができる子」が良い子とされてきたかもしれません。でも、すでに今の社会、そしてこれからの未来では一層「自分で考えられる子」が求めらるでしょう。
時代は変化しています。たとえば、今ある多くの仕事は無くなるものがあります。また、ITやAIの著しい発達で、将来、多くの仕事が増えます。そんな中で必要になるのは、マニュアル通りに動ける力ではなく、「自分は何をしたいのか」「どうやってそれを実現するか」を自分自身で考える力(「課題解決力」)です。
これは大人になって突然できるようになるものではありません。「三つ子の魂100まで」という諺もありますが、小さな頃から「考える→選ぶ→行動する」の経験を積んでいくことで、お子さんの中に少しずつ【主体性】が育まれていきます。
また、お子さんの成長にとって大切な時期を表す「ゴールデンエイジ」に、これらの経験ができる環境づくりをおすすめします。
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実際、主体性が育った子どもは、無意識に困った時に「どうすればいい?」「どうしたらできる?」と考えたり、自ら学んだり、人と相談したりし、解決することができます。これは同時に、自分の気持ちに気づいたり、人との関係の中で何を大切にしたいかに気づいたりすることができるのです。
学校生活や友達とのやりとりの中でも、ただ誰かの真似をするのではなく、自分の考えを持ち、行動できる子は自信を持って過ごせます。自然と自己肯定感も高まり、将来社会に出た時も大きな力になります。
2.「主体性」を育てる環境
お子さんが、ありのままに自分の気持ちに素直になって、「これが好き」「こんなふうにやってみたい」と思える時間や環境は、実はとても貴重な成長の時間です。この『好きなことに夢中になれる時間』は、ただ楽しいだけではなく、お子さんの心の深い部分に「自分を認められる力」や「自分にOKを出せる感覚」(「自己受容」)を育てていきます。
ありのままで過ごす学童保育
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たとえば、お子さんが夢中で絵を描いたり、好きなおもちゃで遊んだり、本を読んだりしているとき。そこには誰かに評価されることも、正解を求められることもありません。自分で選んで、自分のペースで、自分なりの方法で過ごす。そんな時間こそが、お子さんの【主体性】を自然に育てていくのです。
先にもお伝えしたとおり、【主体性】というのは、「自分で考え、選び、動く力」です。
この力が育ってくると、お子さんは「やりたいこと」だけでなく、「どうやったらできるか」「次はこうしてみよう」と、自分の頭で考えて工夫しながら取り組むようになります。
それは、親御さんや周囲の人が何かを教えたからでも、何かを命じたからでもありません。お子さん自身の内側から湧いてくる「やってみたい」(「内的動機付け」)という気持ちが、お子さん自身を動かすのです。
そして、お子さんが「自分のやりたいことをやっていい」と感じられる環境があること。これこそが、安心してのびのびと過ごせる『心の居場所』になります。
逆に、やるべきこと・守るべきルールばかり担ってしまったり、常に支持をされることばかりが先に立ってしまい、「やりたいことをやってはいけない」「自分の気持ちは後回し」という環境が続くと、お子さんは「考えても意味がない」「どうせ決めるのは大人」と感じて、自ら考えなくなり、受け身の姿勢になってしまいます。
もちろん、生活の中にはルールや約束も大切です。
けれど、お子さんが「自分の好き」や「やりたい」を口に出せる環境を持つことは、それ以上に、将来にわたる『自分らしさ』の土台をつくる時間になります。さらに、「好きなことを自分で選んで楽しむ時間」があることで、お子さんの創造力や集中力、試行錯誤する力も育っていきます。
たとえば積み木をどう組み立てるか工夫したり、おままごとのストーリーを自分で考えたり。
このような自由な時間は、お子さんの内側の世界をどんどん広げてくれるのです。
そして何より、好きなことに没頭しているときのお子さんの表情は、いきいきとしていて、自信にあふれています。それは『自分の人生を、自分で楽しんでいる』姿そのものです。
親御さんや周囲の人がお子さんの『好き』に目を向け、「それいいね」「どうだった?」と共感しながら見守ることで、お子さんは「自分の気持ちを大切にしていいんだ」と思えるようになります。
この積み重ねが、未来の『自分で選んで、自分の道を歩む力』につながっていくのです。
子育ての中で、すぐに成果が見えるわけではないかもしれません。でも、日々の中で『好きなことを選び、それを楽しめる時間』を大切にして積み重ねていくことは、お子さんの【主体性】を育むことへのかけがえのない土台になります。
お子さんがありのままの自分でいられる時間。そのお子さんのありのままの姿を見守ることこそ、【主体性】を育てる子育ての大きな魅力なのです。
3.「主体性」を育む
お子さんの【主体性】は声かけや関わり方で育むことができます。
たとえば、お子さんが「ヒマだ〜」と言ったときに、「〇〇しなさい」ではなく、「どんなことしたら楽しくなるかな?」と問いかけるなど、考えるきっかけを与えることが、最初の一歩です。また、何かを選ぶ機会をたくさん与えるのも効果的です。「今日はおやつ何にする?」「どっちの服がいい?」など、小さな選択の積み重ねが、自分で決める力を育てます。
「〇〇ちゃんがこう言ったから」「先生がこう言ってたから」ではなく、「自分はどう思ったの?」と聞いてみてください。お子さんが自分の気持ちに目を向け、自分なりの考えを持つきっかけになります。
そして、お子さんが決めたことを尊重する姿勢も大切です。たとえ、お子さんが決めたことが少し遠回りになっても、「自分で決めた」という経験は、お子さんの中に『自信』として積み重なっていきます。
また、すぐに答えを教えず、「どうしたらいいと思う?」「困ったときは誰に相談できるかな?」と考える時間を与えることも、【主体性】を伸ばすサポートになります。
なかなか答えが出ない時もあるかもしれません。そんな時にお子さんを『信じて待つ』ことは、思っている以上に子どもの力を引き出すのです。親御さんも忙しい時もありますよね。「何か思いついたら教えてね」などと、親御さんの用事をしながら待つと、お子さんもゆっくり自分と向き合えるかもしれませんね。
たとえば、お手伝いもただやらせるのではなく、「〇〇と△△ならどっちをやってみたい?」と聞いてみるだけで、お子さんは「自分で選んだ!」という意識を持てます。
「自分のことは自分でやる」も【主体性】を育てるチャンスです。 朝の支度やカバンの準備などを少しずつ任せてみましょう。そして、失敗したときこそ大切なチャンスです。「どうして失敗しちゃったんだろうね」「次はどうしようか」「どうしたらうまくいくと思う?」などと一緒に考える時間を持つことで、お子さんは「失敗=悪いこと」ではなく、「学びのきっかけ」と捉える力を持てるようになります。
絵を描いたり、工作をしたり、自由に発想を形にする遊びもおすすめです。「どうしてこの色にしたの?」「どんなところが気に入ってる?」と声をかけることで、自分の考えを言葉にする練習にもなります。
また、「気持ちの言葉」を使う習慣も、【主体性】を育てる土台になります。「うれしかった?」「びっくりしたね」「それはイヤだったね」など、親が言葉にして伝えてあげることで、お子さんは自分の感情を認識し、伝える力を育てていきます。
まとめ
お子さんが自分の人生を自分で選び、好きな道を歩んでいく。その土台になるのが【主体性】です。これまでの内容を振り返ると、次のようなことがポイントになります
◎「自分らしく、好きな生き方」をしやすくなる時代に向かっている。
◎「自分らしく、好きな生き方」ために【主体性】が必要。
◎【主体性】とは、「自分で考えて、自分で選び、行動する力」。
◎これからの社会では【主体性】がますます重要になる。
◎「自主性」と【主体性】は似ているようで違い、主体性は“選ぶこと”から始まる。
◎小さな頃から「考える→選ぶ→行動する」の積み重ねが【主体性】を育てる。
◎子どもに問いかけることで、考える力が育まれる。
◎小さな選択肢を与えることで、決める練習ができる。
◎周囲の大人はすぐに答えを与えず、「信じて待つ」姿勢が大切。
◎家庭では、お手伝いや自由な遊びを通じて【主体性】を育める。
◎気持ちを言葉にする練習も、【主体性】の基礎になる。
◎失敗を「学びのチャンス」ととらえる関わりが、挑戦する心を育てる。
これらは、特別な教育や高い教材が必要なわけではありません。 日々のなにげない会話や、お子さんが選んだことを見守る姿勢、そして「信じて待つ」親御さんの心がけが、子どもにとって何よりの栄養になります。
自分で考え、自分で選び、自分で動く。その一つひとつの積み重ねが、子どもを「主役」にしていくのです。
今日からでも、小さなことから始めてみてください。お子さんはきっと、想像以上にしっかりと、自分の足で未来を歩いていく力を持っているはずです。
<主体性の記事のご紹介>
🌟comottoコラム https://comotto.docomo.ne.jp/column/00000181-2/
🌟Gakkan こそだてまっぷ https://kosodatemap.gakken.jp/life/family/82797/